便秘の薬は、腸の働きを助けたり、便を柔らかくしたりすることで、スムーズな排便を促すために使用されます。
種類や作用機序が異なる薬があり、症状や原因に合わせて選ぶことが重要です!
そもそも便秘とは
本来排泄すべき排便が大腸内に滞ることによる兎糞状便・硬便、排便回数の減少や、排便を快適にできないことによる過度な怒責、残便感、直腸肛門の閉塞感、排便困難感を認める状態
慢性便秘症ガイドライン2023より
一般的に、以下のような状態が便秘とみなされます。
排便に強い努力が必要
硬い便やコロコロした便が出る
排便後も残便感がある

ただし、排便回数の「正常」は個人差があり、毎日排便しない人でも特に問題がなければ便秘とはみなされません。
便秘の種類と便秘薬
便秘は大きく分けて2種類に分けられます。
器質性便秘
・腸の構造の問題
・大腸がんなど疾患が原因になっていることが多い
機能性便秘
・腸の機能の問題
・一般的に便秘として治療する対象
一般的な便秘である機能性便秘について、もう少し詳しく見ていきましょう。
排便困難型 (出せない)
・便が硬い
・いきむ力が弱い
・排便協調運動障害※
※肛門部の筋肉がうまく働かない状態
排便回数減少型 (便が出ない)
・便量が少ない
・腸の動きが悪い
・疾患、薬の影響※
※抗コリン薬、Ca拮抗薬、向精神薬、オピオイド、パーキンソン病治療薬、陽イオン交換樹脂など
理想な便の状態に関しては、ブリストルスケールという指標で判断することができます。





3~5が正常便で、4が理想だとされています。
上記の機能性便秘から理想の便状態や腸の動きに戻すため、以下の薬が使われます。
便秘の治療でよく使われる薬
①便性を整える薬:便の硬さや量での不調に効果的
②腸運動を促す薬:腸の動きが悪い時に効果的
③困った時に出す薬:生活習慣改善や①②の薬を試しても効果がないとき
便性を整える薬


塩類下剤
・酸化マグネシウム(マグミット®)
糖類下剤
・ラクツロース(モニラック®)
上皮機能変容薬
・ルビプロストン(アミティーザ®)
・リナグルチド(リンゼス®)
作用:腸内に水分を引き込み、便を柔らかくして排出しやすくします。
特徴:比較的安全で長期使用にも適していますが、過剰摂取は電解質バランスの乱れを引き起こすことがあります。


膨張性下剤
・ポリエチレングリコール(モビコール®)
作用:腸内で水分を吸収して膨張し、便の量を増やして腸を刺激します。
特徴:比較的自然な形で排便を促しますが、水分摂取が不十分だと逆に便が硬くなることがあります。
ポリカルボフィルCa(コロネル®、ポリフル®)
作用:消化管内で水分を吸収し、消化管の内容物の動きを調節します。
特徴:過敏性腸症候群(IBS)に伴う便秘に効果的です。
腸運動を促す薬


エロビキシバット(グーフィス®)
作用:大腸への胆汁酸の分泌を増やして腸の動きを活発にしたり、水分分泌を調整することで便秘を改善します。
特徴:水分を調整するだけでなく腸の動きも促進するので、早く排便効果が得られやすいです。
困った時に出す薬


刺激性下剤
・センノシド(プルゼニド®)
・ピコスルファートNa(ラキソベロン®)
作用:腸を直接刺激して蠕動運動を活発にし、便を排出しやすくします。
特徴:即効性があり、頑固な便秘に適していますが、長期使用は腸の機能低下を引き起こすことがあるため注意が必要です。


坐薬
・テレミンソフト®坐剤
・新レシカルボン®坐剤
浣腸
・グリセリン浣腸®
作用:肛門付近に直接作用し、即座に排便を促します。
特徴:緊急時や即効性を求める場合に使用されます。頻繁な使用は腸への負担を増やす可能性があります。
使用時の注意点
1. 医師・薬剤師に相談する
自分の便秘の原因や症状に合った薬を選ぶことが大切です。特に妊娠中や持病がある場合は注意が必要です。
2. 生活習慣の改善も重要
便秘薬は一時的な対処法であり、食物繊維や水分摂取、運動などの生活習慣の改善が根本的な対策となります。
3. 依存を避ける
特に刺激性下剤は長期間使用し続けると、腸が薬に頼るようになり、自力で排便しにくくなる可能性があります。
+α:排便時の姿勢が大事!
排便時では、前かがみの姿勢が理想です。
前かがみになることで肛門と直腸が真っ直ぐになり、便が出やすくなります。


まとめ
・便秘は、便の硬さや量、排便回数で不調がみられている状態
・便秘は大きく分けて2種類あり、便秘として治療するのは「機能性便秘」
・①便性を整える薬:便の硬さや量での不調に効果的
・②腸運動を促す薬:腸の動きが悪い時に効果的
・③困った時に出す薬:生活習慣改善や①②の薬を試しても効果がないとき
・前かがみの姿勢で排便しやすくなります
便秘薬は一時的な便秘解消には役立ちますが、根本的な解決には生活習慣の見直しが必要です。
適切な薬を選び、安全に使用することで、健康的な腸内環境を維持しましょう!
コメント