目薬を使う時に、コンタクトレンズをしたまま使えるか気になるところ。
実は、「防腐剤」が含まれているかが重要なポイントです。
今回はその防腐剤についてお伝えします!

「防腐剤」とは
防腐剤は、その名の通り、使用中における薬液の微生物汚染を防止する効果があります。
実は、目薬は開封した時点から空気中の埃などにより汚染されています。また目薬は液体であるため、細菌が繁殖しやすいです。
安全に目薬を使うためにも、ほとんどの目薬に防腐剤が入っています。
防腐剤が目に与える影響
目薬に使われる防腐剤の濃度は、危険性が無く安全に使える濃度に設定されています。
しかし、コンタクトレンズに吸着したり、長期の使用で、角膜へ悪影響が出てしまいます。また、コンタクトレンズの変形に繋がることもあります。
防腐剤の種類
実際に防腐剤の成分をみていきましょう。
目薬の防腐剤には、大きく分けて3種類の化合物が使われています。
防腐剤としての強さは、殺菌作用>静菌作用になります。
(殺菌作用)
陽イオン性界面活性剤
・ベンザルコニウム塩化物
・ベンゼトニウム塩化物
・クロルヘキシジングルコン酸塩
(静菌作用)
アルコール類
・クロロブタノール
パラオキシ安息香酸エステル類
・パラオキシ安息香酸メチル
・パラオキシ安息香酸プロピル
陽イオン性界面活性剤
これらの化合物は、本体に陽イオン(㊉)を持ちます。
細菌の表面は陰イオン(㊀)に帯電しています。
陽イオン性界面活性剤の㊉が細菌の表面㊀に吸着・侵入し、細菌の内外の電解質バランスや細胞膜破壊などにより殺菌作用を示すとされています。
陽イオン性界面活性剤の中でもベンザルコニウム塩化物は殺菌作用が強いとされ、現在も目薬の約80%に使用されています。
アルコール類
アルコール類では、クロロブタノールがよく使用されます。アルコール類は、溶菌作用や代謝阻害に関与していると言われています。
パラオキシ安息香酸エステル類
パラオキシ安息香酸エステル類では、パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸プロピルがよく使用されます。脂溶性の高さを利用して細菌の中に入り込み、増殖を抑制する効果があると言われています。
目薬とコンタクトの相性
※BC:ベンザルコニウム塩化物の略
★酸素不透過性ハードレンズ
・防腐剤(BC)あり→△
・防腐剤(BC以外)あり→〇
・防腐剤フリー→◎
基本、装着したまま目薬を使っても問題ないとされていますが、リスクを減らすためにも防腐剤を含まない目薬を使用することをオススメします。それ以外の目薬は、医師から指示を受けましょう。
★ソフトレンズ、酸素透過性ハードレンズ
・防腐剤(BC)あり→✕
・防腐剤(BC以外)あり→△
・防腐剤フリー→◎
ハードレンズよりも水分を含みやすいため、目薬の成分がより吸着しやすく、防腐剤の影響を受けやすくなります。ベンザルコニウム塩化物を含む点眼液は使用できませんが、その他の防腐剤を含む点眼液は使用を禁止はされていません。

ヒアレイン点眼液0.1%・0.3%、ヒアルロン酸Na点眼液0.1%・0.3%「JG」などは、ベンザルコニウム塩化物からクロルヘキシジングルコン酸塩へ防腐剤を変更したことにより、添付文書の「ソフトコンタクトレンズ装用時の注意事項」が削除されました。
しかし、可能であれば防腐剤を含まない目薬を使うか、目薬を使う前に外して点眼した15分後に装着しましょう。
防腐剤フリーの目薬って?
・フィルターがあるタイプ
「PF※デラミ容器®」
内袋と外層の二層構造になっており、滴下した薬液の体積分だけ内袋が縮み、外層と剥離します。そして、ノズルの内側に0.22μmメンブランフィルターを取りつけることで、防腐剤無添加でありながら開封後の微生物汚染を防いでいます。※Preservative Free:防腐剤無添加
「NP※容器」
フィルターを装着した特殊な容器※None- Preservative Multi – dose Container :非防腐性多用量容器
・使い切りタイプ
ムコスタ点眼液UD2% 0.35mLなど



フィルターがあるタイプはフィルターを通して外部から細菌等が入らないように、使い切りタイプは1回の点眼で1本ずつ使って捨てるなど、防腐剤がなくても衛生的に使用できる工夫がされているんですね。
まとめ
目薬の防腐剤は、微生物の汚染から眼を守ってくれる役割がありますが、コンタクトレンズ装着や長期間の使用により角膜に悪影響を与えてしまいます。
安全に使用するためにも、医師などの指導のもと正しく使うよう心がけましょう。
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